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がん対策法がなぜ必要か?


■がん対策法がなぜ必要か?           (勉強会の資料を元にまとめてみました)
          参考資料:東京大学医療政策人材養成講座 特任助教授 埴岡健一さんの論文


 ■日本のがんに関する現状
  ○年間罹患者60万人、死亡者30万人
  ○そのうち、15~59歳の死亡者数47000人
  ○地域格差、施設間格差の問題があり、いわゆる『標準的治療』が全国各地であまねく受けられないために、
   4~7万人の犠牲が出ている(水準以上の病院が整備されるだけで、4~7万人の救命=5年生存者の増加=
   が達成される)という試算もある。
 →→日露戦争の戦死者が約55,000人だったことを思えば、これに匹敵する人命が地域格差によって毎年失われ
   ている事実を重く受け止める必要がある。

 ■米国のがん対策
  ○大統領直轄の戦略策定体制
  ○大統領の下にNCI(米国がん研究所)をおき、戦略遂行の多くの責務を与えた。
  ○大統領がん委員会(大統領がメンバー任命、戦略をアドバイスする組織)を設置
  ○全米がん諮問委員会(大統領が任命、NCIの中におかれ、戦略の進捗を管理する組織)を設置
 →→これらは日本にはいずれもない。

 ■米国の反省ポイント
  ●研究に予算をつぎ込みすぎ、かけた資金ほどの成果が得られなかった。
  ●大きな声を上げる利害関係者、圧力団体に予算配分が引きずられた。
 →→米国では、それらを踏まえ、外部からのチェック機能を働かせる仕組みが導入され始めた。
  ●がん患者団体の発言力が大きかったが、がん患者団体の声は、生存者が多いがんほど強くなってしまう。
   むしろ犠牲者が多いがんほど注力すべきという意見もある。
 →→政策立案や評価に患者団体の意見を取り入れると同時に、政策評価の専門家による中立的な効用評価も
   必要。

 ■日本の目指すべきスタンス
  ○費用対効果を考え、確実なところに必要な資金を投入する。
  ・・・基礎研究などへの資金配分は厳選し、現実的かつ有効な方法に資金がいきわたるようにする。
  ○均てん化の実現
  ・・・最先端ではなくとも、先進国で標準的とされる医療が全国どこでも受けられる。
 →→質の高いがん診療のための人材育成、成功事例の選別と普及、がん医療の質の評価及び指導などのシステム
   の整備

 ■その他、具体的条項
  ○予防(たばこ対策など、発がん物質からの隔離)、検診の強化・普及
  ○緩和・終末期医療の充実
  ○がん登録の実施・整備普及
  ○がん対策への患者参加
  ○患者の権利確保


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